こんにちは。ピオニーカフェのももこです。
今日は、前回の続き、従来の治療にプラスして活用したい炭酸泉の可能性part1。
実際に取り入れられている炭酸泉治療の内容について、さらに紹介していきたいと思います。
血管年齢が若返る「炭酸浴」の著者、川原 弘久さんの医療法人偕行会グループで実際に取り入れられ、その効果が実感されています。
炭酸浴+運動療法
透析患者さんは筋力が弱く、体力が低下しやすいという特徴があり、さらに食事でのタンパク質が制限されるため、筋肉の元になる栄養が不足しがちです。患者さんの平均体力は同じ年齢の透析を受けていない人の50~60%ほどに下がってしまいます。
このような状態では、家事や運動するのがつらくなり、動かなくなり、運動不足で筋力や血流が悪化。すると寝たきりや、血管病のリスクがさらに高くなってしまいます。
そこで、透析患者さんは、透析をするときに併せて運動療法を行い、体力低下の防止をしています。
しかし、心疾患などで運動が出来ない患者さんには、透析前に10分間の足浴を行うことで、炭酸ガスによって筋肉への酸素供給が増え、運動をしたときと同じような効果が期待できます。
心機能アップに
透析患者さんは狭心症や心筋梗塞などが多くなってしまいますが、それに関連しているのが慢性心不全。慢性心不全は心臓のポンプ機能が低下して、全身に送る血液の量が減り、少し動いただけで動悸がする、息切れ、呼吸困難、疲れやすい、手足の冷え、むくみなどの全身の症状が現われます。
透析患者さんだけでなく、加齢や生活習慣病によって慢性心不全に至ることも多いです。
2週間の入院治療で炭酸泉の足浴を1日2回に、炭酸泉の全身浴を週3回行った結果、心臓の状態は良い方向に変化しているということが確認されました。
炭酸泉の働きとしては、まず、炭酸ガスが抹消の毛細血管を広げ、血液が流れやすくなって心臓の負担を軽減させます。さらに血流量が増えて血管の内皮機能が改善し、血管がしなやかになることで心臓の負担が減ります。
慢性心不全が治ったとまではいきませんが、心臓の機能が改善しています。
1回の炭酸浴で不整脈が消えてしまった例も
胸がクーッと詰まるような感じ、胸がもやもやするなどの期外収縮があるという程度でれば、それほど心配ない不整脈ですが、期外収縮が多く現れるようになると命に関わる不整脈を誘発しかねません。
今回、炭酸浴の治療をした患者さん8人中3人に不整脈の減少が認められました。
ある患者さんは、心室性周期外収縮が1分間に10回程度ある「要観察」の状態で、1回の全身浴で不整脈がまったく消えてしまったそうです。
この治療以前は入浴後にふらつきがあり、ほぼ毎回倒れそうになるほどの状態が炭酸浴治療後は見られなくなったといいます。
なぜそのような効果になるかは明らかになっていませんが、炭酸浴による心臓や循環器の機能改善が関係しているようです。
認知症予防に効果的
炭酸浴の医療の応用に認知症の治療の可能性がみられています。
認知症は記憶をつかさどる脳の海馬の萎縮や血流低下が起きていることがわかっています。認知症の治療に薬や運動療法にプラスして炭酸泉を活用することで認知症の発症が抑えられるのではないかという考え。
認知症に用いられる薬には、脳の海馬の血行をよくする効果があるのが確認されています。運動が高齢者の認知機能を高め、認知症の予防になるという研究結果も相次いで報告されています。
運動によって脳の認知機能が高まる理由は脳の血量が増え、酸素や栄養の供給が増え、老廃物の代謝が高まり、神経細胞が元気になるから。
運動が認知症の予防や進行抑制になるのであれば、人工炭酸泉にも同じ効果が期待できるはずです。
このように、人工炭酸泉はさまざまな可能性を秘めています。
実際の医療や治療に応用できるまでは時間がかかるそうですが、自宅でも取り入れられるようになった人工炭酸泉の活用で健康寿命を延ばすことにも期待できるのではないでしょうか。
参考: 血管年齢が若返る「炭酸浴」 著 川原 弘久